読書好きな両親の影響もあり、幼い頃から本が大好き♪とは言っても、手に取る本の殆どは小説・エッセイ・ノンフィクション、とかなり偏ってはいるのですが…。しかも、関心を持った著者・テーマの本ばかりをイモヅル式に読破するタイプなので、知識の幅が狭くなり勝ちなの。

 例えば、苦手意識の高い理数系の本は、ここ数年で数冊しか読み切っていません(しかも理解できたかどうか)…。数学者の藤原正彦のエッセイは読み易くて面白いので中学生の頃から好きなのですが、数学の本とは言えませんし。私レベルでも理解できて楽しめた数学関連本は、小川洋子と共著の新書『世にも美しい数学』位なのかも…。数学の面白さを垣間見せてくれるため、『博士の愛した数式』と併読して楽しんだ記憶があります。


 話を戻して、最近手に取っている本を。気分・シチュエーションに応じて、数冊を平行に読むタイプなので、一貫性が無くてお恥ずかしいですけれど…。でも、どれも面白いのでお時間のある方はどうぞ☆



 持ち歩き用(文庫)

俵 万智
百人一酒
 歌人 俵 万智のお酒にまつわるエッセイ集(単行本は5~6年前に出版)。新聞連載をまとめたものなので、一篇が短くて移動時に最適なの♪飲めない方でもきっとバーに走りたくなってしまうはず(私は走りました)。快活で楽しい文面の中からチラリと覗く女の貌に、彼女の歌に通じるものを感じることも…。気になりつつも手に取れずにいた『トリアングル』を購入してしまおうか迷っています。

三宅 幸夫
ブラームス

 意外と侮れない新潮社の作曲家伝記シリーズの一冊。豊富な写真資料(カラー有)とコンパクトに要点がまとめられた文章のお蔭で、短期間にその作曲家の生涯等を知ることができるの。もちろん、多少端折っている感は否めませんが、ざっと予習・復習したい時には重宝する気が。私の場合、きちんと音楽史を勉強していないので「???」な人物が登場して困ってしまうことも多々ありますけれど…。

 ブラームスはその重厚な音楽が結構好きで、秋冬になると特に聴きたくなる作曲家の一人。「暗~い」と思われそうですが、彼の性格に結構共感するところも…。同じドイツ人だと、ヘッセの生き方もかなり好きなので、私に内向的な面が色濃くあるのは否めなさそう。



自宅用

ハナ・アーレント, 大久保 和郎, ハンナ アーレント, Hannah Arendt
全体主義の起原 1 新装版 (1)

 大学時代に購入した本の読み直しです。全3巻のうちの、まだ1巻目ですけれど…。今回はどこまで理解できるのかしら?大学時代は「難しいけれど、面白い」という感想だったので…。でも、単純かもしれませんが、この本によってモノの考え方・目指したい姿勢が少し変わったのも事実。

 19世紀後半~20世紀初頭の出来事が中心ですが、現代の世相にも通じるものを感じて背筋が寒くなる内容。情報伝達技術の発展・マスメディアの強大化の影響で、むしろ現代の方が情報操作・偏光報道によって大衆を煽動することは容易くなっていそう。今の日本の状況だと、モッブが大量に生まれそうな気がしますし…。まずは、自分自身だけでもきちんとした知識と判断力を備えられるように気を付けないと…。

 


 彼宅用

司馬 遼太郎
坂の上の雲〈1〉

 維新直後の日本において、各々の分野で活躍した松山出身の3人(秋山好古・秋山真之・正岡子規)の生涯が描かれている作品。全8巻(文庫版だと)のうちまだ2巻目ですが、彼と奪い合うように貪り読んでいます。彼が読み始めた作品なので、私は後から追いかけている身なのですが…。隣で読まれると何故か面白そうに感じてしまって。所謂、「隣の芝」現象です。でも、彼のお蔭で読書の幅が広がっているので感謝しています。

 維新前後の日本の歴史は社会構造や価値観の大変換が起こって面白いと思う反面、複雑なところもあるので、今まで敬遠気味でした。司馬遼太郎の作品も、初めて手に取った『竜馬がゆく』を苦痛に感じてしまって以来、避けていましたし…。私自身が竜馬のエネルギーに付いて行けなかったため、共感できなかったの。今思えば、勿体無いことをしたものです。今度帰省した折には、再チャレンジしてみようかしら?

 そうそう、こちらの作品は2008年ごろにNHKでドラマ化されるそう。私の場合、軍事知識が乏いので戦争の場面では「???」となってしまうことが多いので、映像化して頂けると本当に助かります。

永井 荷風
墨東綺譚

 こちらも彼に感化されて読み始めた一冊。中高生の頃に『あめりか物語』・『ふらんす物語』を手に取って以来です。明治~戦前の作家の生活ってかなり好きなので、楽しみながらページをめくっています。文庫版の巻末に付いている彼の年表を見ても、気ままな彼の生き方に親族がハラハラしながら世話を焼いていた様子は窺えますが…。脱線しますが、私は本や楽譜に付いている「作者年表」を眺めるのが好きなの。スペースの都合で出来事を1~2行でまとめざるを得ないため、さらりと凄いことが書かれているのも面白くて。最近では、ロシアの作曲家メトネルの人生(ワイドショー的な話題有)が気になってたまりません。今のところ、伝記が英語版しかないので悩み中なのですが…。

 話を元に戻して。フェミニストにはこの作品中の永井は許せない存在なのかもしれませんが、個人的には彼の純粋なものに惹かれる心に共感できるの。中盤にある「真白だと称する壁の上に汚い種々の汚点を見出すよりも、投げ捨てられていた襤褸の片にも美しい縫取りの残りを発見して喜ぶ」という下りは、この本のテーマであり彼の価値観が良く表れている気がします。

 舞台となった下町を散策したことが無いので、情景を思い浮かべながら読み進められないのが残念な限り。やはり、豊富な知識や体験が無いと、楽しみの幅が狭まってしまうことは否めなさそう。



 何だか、長々と書いてしまいましたが…。上記の本以外にも、色々と手に取ってしまっています。例えば、「のだめ」の新刊が出たので何となく限定版を購入してしまったり…。付録のマングースシャーペンが可愛くて開封できないの。チープなハブ(クリップ部分に目が描かれているだけ)が、何とも言えない愛嬌を振りまいています。


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